Notebook: そううつ病
Q1: そううつ病とはどのような病気ですか?
Q2: そううつ病は統計学的にみるとどのような特徴がありますか?
Q3: そううつ病の原因は何でしょうか?
Q4: そううつ病患者の特徴としてどのようなものがありますか?
Q5: そううつ病の中でそう病、うつ病の割合はどのような比率になりますか?
Q6: そううつ病のそう状態の特徴はどのようなものですか?
Q7: そううつ病のうつ状態の特徴はどのようなものですか?
Q8: そううつ病の治療はどのように行いますか?
Q9: そううつ病の予防はどのように行いますか?
Q10: そううつ病の診断はどのように行いますか?
Q1:そううつ病とはどのような病気ですか?
A1:そううつ病はそう状態(病的に愉快・爽快な状態)とうつ状態(病的に憂うつ・抑うつの状態)からなります。出現頻度は0.3〜0.5%で文化程度の高い民族や知識階級や中上層階級に出現します。20歳代、30歳代、40〜50歳に多くみられる現代病です。そう病とうつ病比は1:6〜10で、うつ病が圧倒的に多いのです。
Q2:そううつ病は統計学的にみるとどのような特徴がありますか?
A2:遺伝的にみると常染色体性優性遺伝をおこします。一般人口におけるそううつ病の出現率は0.44%です。そううつ病患者の子供での出現率は24.4%、同胞では12.7%、一卵性双生児では60〜85%、二卵性双生児では5〜35%です。
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Q3:そううつ病の原因は何でしょうか?
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A3:そううつ病の原因は不明ですが、多くの仮説があります。脳内モノアミン代替仮説といわれるものがあり、これには3つあります。1つはカテコールアミン仮説が原因と考える説で、2つ目はセロトニン仮説、3つ目はノルアドレナリン仮説です。これらの物質がそううつ病の時に増減することから原因物質と考えられたものです。その他の仮説として電解質代謝障害説や内分泌機能障害説などがあります。
Q4:そううつ病患者の特徴としてどのようなものがありますか?
A4:肥満型の体格の人と循環性性格の人に多くみられます。循環性性格の人の特徴は社交的、善良、親切、人情味、快活、ユーモア、活発、性急、静か、穏やか、気重、柔和などです。身体疾患、転職、昇進、退職、転居、異性関係、近親者の病気や死亡、妊娠、出産などが心因および外因になっていると考えられております。現在のように、不景気で失業者が多く、勤務していてもストレスが多い時代にはそううつ病患者は多くなります。
Q5:そううつ病の中でそう病、うつ病の割合はどのような比率になりますか?
A5:うつ病だけの患者が50〜60%で、うつ病とそう病の両方をもつ患者が30〜40%、そう病だけの患者が5〜10%の頻度でみられます。
Q6:そううつ病のそう状態の特徴はどのようなものですか?
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A6:感情障害、思考障害、欲動障害、身体症状など、次のような特徴的なある障害がみられます。
1)感情障害:上機嫌、気分爽快、楽天的となり、自我感情の高揚に伴い自己を過大評価します。自信に満ちあふれ他人を無視・干渉します。好悪の感情を露骨に表し、尊大・傲慢になります。
2)思考障害:思考過程が促進され、観念が次々と湧きでてきます。思考の内容は楽天的誇大的で、駄洒落や音連合が口から次々とでてきます。自己の能力、事業、財産、身分などを過大に評価します。「自分の能力は抜群、事業に成功して巨万の富を得た」「由緒ある家系の出である」などの誇大妄想に発展します。
3)欲動障害:瞬時もじっとしておらず、せきたてられるように動き回り、手当たり次第に何かしようとするが、まとまった仕事が出来ません。大声で絶え間なくしゃべりまくったり、朝早くから夜遅くまで動き回ります。時刻をかまわず外出し、相手の都合を考えず無用な訪問をします。用件もないのに多数の手紙を出したり、電話をかけたり、身分不相応に高価な品物を購入したり、服装や化粧も年齢不相応に派手になったり、異性関係においても逸脱行為が多くなります。
4)身体症状として早朝覚醒、熟眠障害、入眠障害があります。頭痛、肩こり、関節痛、耳鳴り、頻尿、消化器症状を訴えることもあります。
Q7:そううつ病のうつ状態の特徴はどのようなものですか?
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A7:感情障害、思考障害、欲動障害など、次のような特徴的な障害がみられます。
1)感情障害:抑うつ気分は朝方にひどく、夕方に軽快します。意気消沈、声も低く小さく抑揚もない、うっとうしい、寂しい、気が滅入る、自信を失い、何事にも強い劣等感を持ち、自己を過小評価、些細な失敗について強い自責の念を持ちます。罪業感、深い空虚感、絶望感があり、思いつめて自殺することもあります。何事にも興味をおぼえず、表情は淋しげで憂いに満ち、生気や活気に乏しく抑うつ気分となります。日によって変動したり、日内で変動したり、1〜2週間の周期で変動します。
2)思考障害:悲観的、厭世的、虚無的となり、生きていても意味がないと思いつめます。劣等感や自責の傾向が強くなり、過去の小さな過ちを悔恨し将来に希望がもてなくなります。うつ状態に現れる妄想としては罪業妄想、貧困妄想、心気妄想などです。
3)欲動障害:おっくうでやる気が起らない、気力がなくなった、不活発、緩慢、外出、面会を避けるようになり、他人と話をすることも苦痛となります。自殺をしようとするのは発病初期と回復期に起こり易いといわれています。
Q8:そううつ病の治療はどのように行いますか?
A8:そう病の治療は薬物療法として、抗精神病薬、精神療法などがあります。うつ病の治療は薬物療法として感情調整剤、精神賦活剤、抗精神病薬などがあります。この他、電気ショック療法や断眠療法もあります。
Q9:そううつ病の予防はどのように行いますか?
A9:炭酸リチウムを1日600〜800mg投与すると効果があるようです。
Q10:そううつ病の診断はどのように行いますか?
A10:精神科医が臨床的に診断する方法が一般的です。最近、光トポグラフィー検査という患者の頭部に近赤外光を照射し、 脳の血流量の増減と波形のパターンから、うつ病、そううつ病、統合失調症の鑑別診断ができるようになりました。
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